「大前研一日本の論点」でグローバル社会の本当の意味がわかった!!

20代読書会_大前研一 日本の論点2016〜17

初版:2015年11月19日
出版社:プレジデント社
著者:大前 研一

大前研一 日本の論点でグローバル社会の本当の意味がわかった!!

「グローバル社会」

よく耳にする言葉ですが、日本や企業、そして個人にどんな影響を及ぼすのか、よくわかっていませんでした。

今回は、日本の論点で見えたグローバル化の影響を4つ紹介していきます。

日本の金融政策で、景気回復はありえない

アベノミクスが景気浮揚効果を発揮しないのは、安倍首相と取り巻きの経済アドバイザーたちが100年前のケインズ経済学を前提に戦略を立てているからだ。

なるほど。これは一体なぜなんでしょうか?

お金をバラまいて金利を安くすれば借り手が山のように現れて、消費や設備投資に回されて景気が良くなるというのは大昔の話で、今はどれだけお金をバラまいても日本経済に浸み込んでいかない。年利1.5%の住宅ローンさえ借り手がいないのである。

はい、このようにケインズ経済学が機能しなくなったからくりが解説されています。

20代読書会_ケインズ

マネーサプライや金利政策が有効に機能するケインズ経済学は、一国でほとんど完結する閉鎖経済を前提にしている。今は開かれたボーダレス経済の時代であって、金利の安い国から金利の高い国へお金が流れていく円キャリー、ドルキャリーのようなことが平気で起きる。
ケインズ経済では金利を高くするとインフレを抑制する効果があるはずだが、今や金利を高くすると世界中からお金が集まってくる。ボーダレス経済ではケインズ経済学と真逆の現象が起きるのだ。

お金をバラまき、金利を安くした場合、①ボーダレス経済と②閉鎖経済では真逆の現象が起きます。

①ボーダレス経済
・お金を金利の高い国に移そう!という心理に
・国外にお金が流出
・デフレ効果

②閉鎖経済
・お金を預けておくと、もったいない!という心理に
・消費や設備投資が活性化
・インフレ効果

ケインズ経済学は、②閉鎖経済を前提としています。

ただ、現在は②閉鎖経済ではなく、①ボーダレス経済になっているため、ケインズ経済学を前提とした日本の金融政策は、期待とは真逆の結果が出てしまうというのです。

グローバル社会での国家経営

20代読書会_エストニア
エストニア
・北欧バルト三国の一国
・人口135万人
・財政は健全で、ITに非常に強い

このエストニアの事例が載っていました。

チーフ・インフォメーション・オフィサーという肩書きの役人と話をしたら面白いことを言っていた。135万人の人口を1000万人に増やしたいそうで、非居住者用のIDカードの所持者を2050年までに1000万人にする計画を進めているというのだ。

人口を135万人から1000万人にするとは、すごい構想です。一体、どんなことを考えているのでしょうか?

エストニアでは観光ビザで会社が設立できる。非居住者用のIDを持っていれば、エストニアで興して登録した会社を海外から経営できる。契約書のサインも税金の納付もオンラインで可能。しかも資本金ゼロで会社が興せるし、最初の5年は税金がかからない。したがって世界中からエストニアに会社を興しにやってくるようにしたい、と言う。「これが21世紀の人口増加策だ」とオフィサーは胸を張った。

いやあ、すごい!本当にすごい構想です。

もうリアルの世界だけでなく、バーチャルでつながった国家を考えて、政策を実行しているのです。FS映画みたいな話です。そして、その背景として、面白い話が載っていました。

エストニアの人々は再びロシアが攻め込んでくる可能性を結構、本気で信じている。たとえ物理的に国を取られても、世界中に散らばったIDホルダーによってサイバースペースの「e国家エストニア」を経営して、国家再興の日まで頑張るつもりだそうだ。

グローバル社会での企業経営

20代読書会_アップル
グローバル化で変化しているのは、国家の金融政策やあり方だけではありません。当然、企業のあり方も大きく変化しています。本書には、このような事例が紹介されていました。

アップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフトなどIT系グローバルプレーヤーをはじめ、欧米のグローバル企業から租税回避先として重宝されているのがアイルランドである。アイルランドは多国籍企業を誘致するために優遇税制措置を講じていて、法人税率12.5%はEU最低だ。
しかも交渉次第では、さらに低くなり「1桁」の法人税率の企業も珍しくない。

つまり、グローバル企業はグローバルで最適化して経営を行なっているということです。

最適化とは、たとえば生産は安く正確に行えるタイや中国で行い、税金は安いアイルランドで払う。そして、所得の高い米国や日本で売るということです。

法人税は、企業にとってはコストです。製造コストと同じく、できるだけ低く抑える企業努力をしているということなのです。

こうした実態を見ると、1国にとどまるローカル企業では、グローバル企業に太刀打ちできないことがわかります。なぜなら、グローバル企業はローカル企業では実現できない高品質で低価格な商品を生み出し、利益を上げることができるからです。

自分の身は自分で守るべき日本人

そして、最後に日本人の1個人の話をします。結論を言うと、自己責任で自分の身を守るべきです。

今までは国や企業が、幸せな人生を提供してくれていましたが、そうした時代は終わりを告げたのです。

たとえば、年金制度の崩壊を見ても厳しい時代が来ていると分かります。

20代からすると年金なんて、遠い未来の話に聞こえるかもしれません。しかし、これは大きな問題です。なぜなら、老後の生活費=年金だからです。つまり、縁側でお茶を飲んでのんびり老後を過ごすことができたのは、年金のお陰だったのです。

その年金について、こんなことが書かれていました。

そもそも年金についてマジメに考えている政治家や役人は過去にも、そして今現在も、いないと思った方がいい。
今から15年ほど前、2000年くらいに、国の年金政策に関わっている御用学者と議論したことがあるが、当時からとんでもないことを言っていた。4%の経済成長が維持して、サラリーマンの定期昇給も年4%、少子化に歯止めがかかって出生率が2.0まで回復するー。そういう前提のうえで
5%の運用利回りが確保できれば年金が回るように制度設計している、と胸を張るのだ。

なんと…、唖然とするしかありません。

経済成長4%
定期昇給4%
出生率2.0
運用利回り5%

こんな夢みたいな数字をアテにして制度設計をするなんて、宝くじをアテにして人生設計をするのと同じくらいムリがあります。

前提が全部間違っているのだから、制度が成り立つわけがない。一昔前に500万件の年金記録の記載漏れが発覚して「消えた年金記録」と大騒ぎになったが、年金制度の破綻を問われたくない役人からすれば、年金記録はもっと消えてほしいところだろう。公務員には恵まれた共済年金があるし、政治家にも手厚い議員年金がある。こちらは株式や外債の運用比率を増やすとは言っていない。下々の年金問題なんて他人事なのだ。

つまり、日本政府がなんとかしてくれるなんて考えない方がいいということです。それは、宝くじです。当たらない前提で、自分の人生を考えた方がいいということです。

20代読書会_大前研一 日本の論点2016〜17

初版:2015年11月19日
出版社:プレジデント社
著者:大前 研一

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